Output初のエフェクトプラグイン『Movement』
リバース専門音源『REV』、次世代パルスシンセ『SIGNAL』、パワフルなボーカル音源『EXHALE』と、次々にパワフルな製品をリリースしてきたOutput。
次はどんな音源をリリースして驚かせてくれるのだろうと楽しみにしておりましたが、Outputの新製品はまさかのエフェクトプラグインでした!
今回はOutput初のエフェクトプラグイン『Movement』をレビューしたいと思います。
Audio Demo
Win/Mac、32/64bit、VST/VST3/AU/AAX対応。
毎回独自性の強い製品をリリースしているOutput。今回初となるエフェクトプラグインは言い表すならば『マルチエフェクトリズムプロセッサ』といったところでしょうか。相変わらずOutputの製品は一言で言い表すのが難しいです(褒め言葉)。
まず、Movementをインサートすることでどのような音になるのか聴いていただきましょう。
サイン波とピンクノイズにMovementをインサートした、二つの簡単なデモ音源を用意しました。どちらも何も加工していないドライな音にMovementを1つインサートしただけのものです。2小節ごとにプリセットを切り替えています。
いかがでしょうか。なんとも味気ないこの二つの音が超複雑なエフェクティブなサウンドに生まれ変わってしまいました。もう一度言いますが、このデモ音源はMovementを1つだけインサートしてプリセットを選んだだけです。Movementのポテンシャルを十分に感じていただけたのではないでしょうか。
それではMovementの心臓となる「リズムエンジン」を細かく見ていきましょう。
Rhythm Engine
Movementは二つのリズムエンジン、XYパッドによって構成されています。
各リズムエンジンにボリューム・パンが搭載。そしてリズム(StepSequencer/LFO/Sidechain)を二つずつ設定でき、また最大4つのFXを適用させることができます。
まず、リズムの種類はStep/LFO/Sidechainの3種類。
ステップシーケンサーは1~32stepまでの範囲を選択可能。スウィングで跳ねたリズムにもできます。
パターンプリセットも用意されており、またランダムでのパターン生成もできるので、1からパターンを作るのは苦手という方も安心ですね。
LFOは用意された12種類の波形から1つを選んで使います。Chaosと書かれたツマミでランダムな動きにすることも可能です。
Sidechainは外部の音の信号を元に変化する、名前の通りサイドチェインですね。たとえばキックをインプット信号にすることで、キックのリズムに合わせた変化を適用させることが可能になります。
この3種類のリズムをパラメーターにアサインし、モジュレーションを作り出すわけです。
アサイン方法はとても簡単。アサインしたいパラメーターのツマミにリズムをドラッグ&ドロップするだけ(動画参照)。アサイン可能なツマミは真ん中に窪みのようなものがありますので一目でわかりますね。
動画ではボリュームとパンしか見えていませんが、もちろんこれだけでは終わりません。リズムエンジン内のエフェクトのパラメーターにもアサインできちゃうんです!
Effects

搭載されているエフェクトはDelay / EQ / Filter / Distortion / Reverb / Compressor の全6種類。これらのエフェクトを各リズムエンジンに4種類、好きな順番でインサートできます。それぞれのパラメーターにリズムをアサインしてド変態なサウンドを作り出すことができるんですね。DAWでこれを再現するとなると、とても複雑なオートメーションを一つ一つ書いていくことになりますが、Movemenならリズムを作ってアサインするだけ。
ここで少し注意したい点が一つ。このリズムエンジンですが、実はそれぞれ独立しているんです。インプットされた音は複製され、エンジンA/Bのそれぞれに送られ、個別に処理されます。なのでエンジンAのリズムをエンジンBのパラメーターにアサインすることはできません。
各リズムエンジンでサウンドメイクをし、後述するXYパッドで二つのリズムエンジンをミックスするというのがMovementでのサウンドメイクの大まかな流れになります。
XY Macro Pad
もはやOutputの看板的存在となりました、中央にどっしりと構えるマクロコントロール。SIGNAL、EXHALEでは4つのマクロスライダーが搭載されていましたが、MovementではXYパッドが搭載されています。
リズムをアサインできるパラメーターであればXYパッドにアサイン可能。最大152個のパラメーターをアサインできます。XYパッドを動かした際のパラメーターの変化量なども事細かに調整できます(画像)。
XYパッドって個人的に「使いやすいようで使いづらい」というイメージを持っているのですが笑、そんな自分からしてもMovementのXYマクロパッドは単純明快。縦軸がリズムエンジンA、横軸がリズムエンジンBのパラメーターを制御するようになっており、エンジンAのパラメーターをコントロールしたい場合は上下に、エンジンBの場合は左右に、エンジンABを同時にコントロールしたい場合には斜めに動かせばいいというわけです。
LFOのRateを曲の展開に合わせて切り替えていくことや、エフェクトのかかり具合を徐々に深くしていったり、ボリュームをXYパッドにアサインすればエンジンA・Bを個別に切り替えるという使い方もできますね。
XYパッドを使わずとも十分に複雑なリズムを構築することが可能ですが、手動で複数のパラメーターを同時にコントロールすることにより、まさに「Movement」という名に相応しいサウンドを作り出すことができます。
Your Sounds. Powerful Rhythms.
革新的なインストゥルメントで我々をアッと驚かせてきたあのOutput、初のエフェクトプラグイン。発表された時点で自分の中で「これは間違いなく素晴らしいプラグインだ」と確信していましたが、やはりOutputは裏切りませんね笑。
MovementはSIGNALのパルスエンジンをエフェクトプラグインという方向に進化させたモノという印象を受けました。パルスエンジンはSIGNALに最適化されており、できることも使い方も違うのですが、音に動き(命)を与えるという点ではコンセプトは同じといってもいいのではないでしょうか。SIGNALと組み合わせて使うと予測不能のサウンドになってとても面白いですよ!
ここまで制作の面で書いてきましたが、Movementはライブで使っても間違いなく面白いプラグインだと思います。XYパッドという強力なパフォーマンスツールも搭載していますしね。
いやしかし、これほどまでにクリエイティビティを刺激されるプラグインはそうそうないでしょう:)!
ありきたりなサウンドに飽きてしまったという方、なんだかパッとしないなぁという理由でお蔵入りにしてしまった楽曲などがある方も、Movementを使って命を吹き込んでみてはいかがでしょうか。
Link
Price: $149
Pingback: 20160712 | ディストピアレーベル
Pingback: 話題のデベロッパー初のエフェクトプラグインOUTPUT「MOVEMENT」レビュー | SITE2913